第6回アドバンストSEMセミナー「計算・実験・データ科学の融合による階層的自律探索手法による新材料の創製」
日時:2022年6月17日(金)15:00~16:30(質疑応答含)
場所:総合研究棟204室+Teams(オンライン講演)
講師: 筑波大学システム情報系 准教授 五十嵐 康彦
題目:「計算・実験・データ科学の融合による階層的自律探索手法による新材料の創製」
システム情報工学研究群情報理工学位プログラム Igarashi Lab
イノ ベイティブ計測技術開発研究センター 波動応用部門
講演概要:
近年の巨大化した材料空間を効率的に探索するために、データ科学と材料科学を融合した活用した『自律探索AI』の技術が発展している。材料合成・計測・考察を繰り返すAIが自律的に材料空間を探索し続けることで徐々に材料空間全体を把握し、特性の良い材料を自動的に発見/合成することができる。この自律探索AIは、材料実験・ロボティクス・データ科学を組み合わせた『実空間自律探索AI』と、材料シミュレーション・データ科学を組み合わせた『仮想空間自律探索AI』に大別され、その両者を我々グループが先導してきた【Commun.Mater.2,31(2021), APL Mater.8,111110(2020)】。
しかし、従来の自律探索AIでは、本当の意味での効率的な探索はできない。その理由として実空間/仮想空間の自律探索AIの両者がシームレスに連携・連動されていないことが挙げられる。
そこで本研究では、実空間/仮想空間の両方の自律探索を有機的に統合・連動させた『階層的自律探索AI』を構築し、
材料開発ターゲットとしてホイスラー合金を設定する。この材料は、構成元素の組み合わせにより、ハーフメタル、高熱電材料、異常ネルンスト材料・・・など様々な高い機能性を発現する究極的材料として知られている。しかし、構造の複雑性、多元素性、準安定相との競合(主にdisorder)などにより、材料探索空間が超巨大であり、材料探索の難易度が極めて高い。そのため、学術面/産業界双方から絶大な期待が寄せられているにもかかわらず、充分な探索が進んでない未踏材料の一つである。そこで本研究により実際にインパクトの大きな新ホイスラー合金を発見/合成し、本システムの検証を行う。本講演では、昨年度より始まった本プロジェクトの概要と進捗、および課題について講演し、議論を行う。
アドバンストSEMセミナーは、日立ハイテクアドバンストSEMテクノロジ特別共同研究事業がイノベイティブ計測技術開発研究センターと共催で開催する計測技術関連のセミナーです。
第6回セミナーは、筑波大学システム情報系 五十嵐康彦 准教授による『階層的自律探索システム』に関する講演です。
※第6回アドバンストSEMセミナーへのご参加ありがとうございました。